キスはおとなの呼吸のように【完】
「たとえば、そのようにノートにはさんだときでも、手でこすれてしまったり、ふやけてしまうことがない。そういった素材になっています」

以前わたしに説明したものに、さらにアレンジをくわえている。
大上先輩は言葉を続ける。

「あいにく今は現物を持ってきていないのですが、裏が全面粘着できるようになっているうえ、中央に切れこみをいれてあるので、まんなかから折りたたんでノートのページをはさみこむことも可能です」

大上先輩の提案したポストイットの新しいつかいかたに兼田社長ではなく、わたしがなるほどと思った。

さすが立ちのみスペースで五時間も格闘して資料をまとめていただけのことはある。

大上先輩は最後にじょうだんをつけくわえる。
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