キスはおとなの呼吸のように【完】
「あの」

わたしは再度、兼田社長のほうをふりむく。

「数枚だけですが、わたしのほうで手持ちがあります」

そういって、ポケットからポストイットと新品のマジックをとりだした。

兼田社長は顔をあげて、反射的にサンプル品を受けとった。
正方形の表を見て、裏を見て、不思議そうにしている。

わたしの後方から大上先輩の声が続く。
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