キスはおとなの呼吸のように【完】
ひとまずソファにもどってしきりなおそう。

そう思って、ふりむきかけた。

そのとき。

ガラス張りの仕きりのむこうのフロアが目にはいった。

そこで働く二十数名の四葉屋社員。

誰も彼もが忙しそうに、キーボードをたたき、その手で同時にメモをとり、打ちこんだ内容をデスクごとに設置された家庭用プリンターで排出している。

わたしはふりむきかけた顔を、もう一度兼田社長にむけた。

はやる気持ちを一度ごくりとのみこんで、深呼吸してからいった。
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