キスはおとなの呼吸のように【完】
「大上さん?」

兼田社長にいわれて、わたしたちはようやくはっとした。

大上先輩は、びっくりしたような声で早口にいう。

「まだカタログには掲載していないのですが。最小は千枚から、この価格でやらせていただきます」

電卓をはじく音がうしろできこえる。
とっさだというのに、でたらめな数字をはじきだす。
このあたりは、さすが大上先輩だった。
< 279 / 380 >

この作品をシェア

pagetop