キスはおとなの呼吸のように【完】
「やりましたね。先輩」

がらにもなく感動してしまった。
鼻の奥と目の裏がつんと痛くなる。
半べそになりながらわたしがいうと、大上先輩もこどものようにはしゃいでいた。

「ああ。ずいぶんてこずったうえ精神的にもきつかったものな。おもいきり解放された気分だよ」

おとなの大上先輩でも、テスト明けの学生のようなことを思うんだと思うと、すこし新鮮だった。

駅にむかって歩きながら先輩はいう。
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