キスはおとなの呼吸のように【完】
わたしは乾杯だけすると、いつもの定位置のハロゲンヒーターのまえにさっさと移動した。

さすがに、みっともないと思った。
カウンターのむこうのカズトに目だけであやまる。

大上先輩がほかの客にめいわくをかけていることが気にくわないのだろうか。
カズトはむっとした表情で笑顔を見せてくれなかった。

なにも話してくれないから、いいたいことがわからないけど、おそらくわたしの上司ということでがまんしてくれているんだろう。

そう思うと、なんだかもうしわけない気持ちになった。
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