キスはおとなの呼吸のように【完】
からまれた人はみんな困った顔で苦く笑い、酔っぱらいに対しててきとうなあいづちだけ打つ。
そしてさっさと一杯のんで、年の瀬の夜の街に帰っていく。

一日の仕事の疲れをいやすためにこのお店にきている常連の人たちにたくさんのめいわくをかけている。

そう思うとやるせない気持ちになった。

胸がひどく痛んだが、注意なんてできるわけもなく、言葉をごくりとのみこんだ。
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