キスはおとなの呼吸のように【完】
「大上さん」

大上先輩の手首をにぎってカズトがいう。

「いいかげんにしてください。たのしくお酒を飲むのは勝手ですが、ほかのお客さんのめいわくになることはしないでください」

ひじょうにまっとうな店員としてのせりふだった。
だが、大上先輩はそのせりふに、なぜかかちんときたようだ。

まっかな顔とすわった目でカズトのことをにらみつける。
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