キスはおとなの呼吸のように【完】
きっとおとなに見える先輩のなかにも、わたしの感じたくやしさとおなじようなおさない部分があって、それが兼田社長との交渉で、おとなの心と衝突をしてしまった。

愛妻家の先輩のことだ。
こういうぐちはきっと奥さんのまえではだせず、そのうえにさまざまな小言をいわれ、心のなかにはストレスが日に日に蓄積されていたのかもしれない。

すべてをひとりでかかえていた先輩のなかの感情が、兼田社長と同年代のカズトのささいなひとことで大爆発を起こした。

きっとそういうことなのだろう。

きっかけは、べつのことでもかまわなかったのかもしれない。
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