キスはおとなの呼吸のように【完】
「先輩っ」

わたしは足をとめ、うしろから大上先輩に声をかけた。

冬の澄んだ空気のなかで、わたしの声は恥ずかしいほど響きわたった。

まえを歩く大上先輩が足をとめて、こちらをふりむく。
それ以外に言葉がないといった調子で先輩は口をひらく。
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