キスはおとなの呼吸のように【完】
わたしはカズトの指から口を離して、まっすぐに顔をあげた。
しゃがんだカズトに、おなじ位置からしゃがんだわたしが視線をつなげる。

心配なら心配といってくれればいいのに。

わたしに言葉がすくないからわかりづらいというくせに、カズトもずいぶんとへたくそなつたえかたしかできないじゃないか。

意思の疎通がへたくそなのは、時間よりも、おたがいのそんなところにあったのかもしれない。

わたしはカズトの目を見つめていった。
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