キスはおとなの呼吸のように【完】
カズトはくちびるではさんだわたしの舌を強引に吸いながら、硬くのばした自分の舌をわたしの舌先にふれさせた。
点でふれあう舌先を、くすぐるようにこまかく動かす。

なんというか、こどもなのか、おとななのかわからない。
甘えるようなカズトのキスは授乳中の赤ん坊のように、生きるために必死だった。

心をほぐそうと思ってたのに、そんなことはさせてくれない。

わたしのなかの唾液も酸素も心のなかにある言葉も全部ほしがるように、カズトはわたしの舌を吸い続けた。
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