キスはおとなの呼吸のように【完】
十五分間電車に揺られ、わたしはひとり暮らしをするアパートがある駅につく。

時刻は夜の七時すぎ。
十二月の日暮れははやい。

電車をおりると倉庫のなかよりもっと冷たい北風が、わたしを襲った。

わたしはマフラーを鼻まであげて、コートのえりをおさえて歩いた。

倉庫のなかもじゅうぶん寒かったが、街路樹たちさえ葉っぱを落とした裸の街は冷蔵庫のなかみたいな冷えこみだった。
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