キスはおとなの呼吸のように【完】
「身体の温まるお酒ちょうだい」

わたしとは逆のカウンターの端に位置をとる。
でぶのお客さんは、うしろをむいてお酒を用意しているカズトの背中に声をかける。

「ねえ。入口に貼ってあったシール。あれなに?」

カズトはあたたかいワンカップをメタボリックのサラリーマンに手わたす。

「そとに貼ってあるシールって?」

わざとらしくカズトがたずねる。
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