キスはおとなの呼吸のように【完】
「でも、そんなことないですよ。冬の空気はちゃんと存在感がありますよ。ほら」

そういって、はあとその場で息を吐く。
この寒空のした、汗だくで働くカズトの息もはっきりと目に見えるくらいに白い。
わたしはいった。

「くだらないです。そんなこと、いまどきちっちゃなこどもでもいいませんよ」

「ははっ」

本当のこどもみたいにカズトが笑う。
明るい笑顔を見せるカズトと対照的に、根暗な対応しかできないわたし。
なんというかテンションの温度差。
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