キスはおとなの呼吸のように【完】
「今日も一日おつかれさま。シオリ、おかえりなさい」

わたしとカズトはつきあってまだ日が浅い。
まだおたがいに敬語もとれきっていないほどの時間しかたっていない。

なにもかもが手探りのうえコミュニケーション能力がいちじるしく低いわたしは、こんなぐあいにたいしておもしろい会話もできない。

それでもわたしにとってこの場所は、唯一ニュートラルに近い自分をだせる場所で、口になんてださなくても、これでけっこう充足している。
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