キスはおとなの呼吸のように【完】
「ほら。シオリもいつまでもそんなところにいたら、身体が冷えて風邪ひいちゃうよ。なかにはいって待っていてください。おれもすぐにいきますから」

なんというか汗だくで作業をしている人間にそんなことをいわれたところであまり説得力がないが、これもカズトなりのやさしさというやつだろうか。

わたしは正面入口に荷物を運びいれるカズトの背中を見送ると、寒空のしたの私道を歩き酒屋の裏口にむかった。
< 57 / 380 >

この作品をシェア

pagetop