キスはおとなの呼吸のように【完】
重いんだから、せめてひとつずつ運べばいいのにな。
もしかしたらカズトも営業職の人間のように、なにか時間にでも追われているのだろうか。

もっとも、へんてこなおとなのカズトの場合、ただのかっこうつけという可能性も否定はできないが。

今度くわしくきいてみようかな。

そんなことを思いながら、わたしはただただ眺めていた。

目のまえで汗だくになりいっしょうけんめいに働いている彼氏のそばで、なにもせずにぼんやりとするだけの時間は、やはりおさまりが悪く、もうしわけない気持ちがした。
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