キスはおとなの呼吸のように【完】
「今は十二月ですよ。汗だくになって、暑いあついって騒いでいるのは日本じゅうでカズトだけです。わたしはむしろ寒いくらい」

カズトはにこにこ笑っている。
わたしはいちおうつっこんだ。

「っていうか、カズトものむんですか」

「ええ」

カズトはちゃっかり自分のぶんを確保すると、律儀にビール代の二百十円を財布からとりだしバーカウンターのうえにおく。
それからバドワイザーを一本こちらにさしだした。
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