キスはおとなの呼吸のように【完】
わたしたちはその日の午前中、会社の倉庫のなかにいた。

ふだんわたしが出社する営業のフロアからワンフロアくだった階段のおどり場に、倉庫の扉が非常口のように設置されている。

なかはわたしがひとり暮らしをする1DKのアパートよりもわずかに広い。

そこにうちの社であつかう商品のサンプル在庫が山になって積まれているのだ。
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