Vrai Amour ~駿の場合~
それから2年

美空様はフランスに移られ、お子様をご出産された。

ようやく親子の仲は修復に向かったようだが、秋緒様との関係はまだ続いていた。

ただ、長男の恵様が留学から戻られ、親戚一同のサポートを受けながら

桐島家を継ぐことが決まりつつあり、奥様は多忙を極めるようになった。







ある日、毎週のように週末を過ごされるマンションから電話があった。


秋緒様からだった。


あまりに多忙な奥様のために、お屋敷を離れしばしマンションに滞在をすることになった翌日だった。

前日には恵様が跡を継ぐことが発表され、ようやくほっと一息ついたときの出来事だった。

この日私は別の用事があってお屋敷におり、奥様とは一緒ではなかったのだ。



「誰か病院へ・・・!」


そう誰かが叫んだ同時に、私はお屋敷を飛び出していた。
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