Vrai Amour ~駿の場合~
「もしもし」
『・・・・』
受話器の向こうからは何の返事もない。
でも、わずかにクラッシックの音楽のようなものが聞こえてくる。
「・・・・もしかして、さっちゃん?」
私は直感で尋ねる。
さっちゃんなんて呼ぶのも何年ぶりだろう
『駿、くん・・・?』
返ってきた声は、まぎれもなくさっちゃんの声で私はすっかりドキドキしてしまった。
「どうしたの?明日は出発の日だろう?早く寝ないと・・・」
敬語を使わないとと思いつつも、つい今までのクセでそう聞いてしまった。