Vrai Amour ~駿の場合~
『眠れなくて・・・』


「誰かにホットミルクでも作ってもらって・・・」

と言いかけると、さっちゃんは聞き取れないくらい小さな声で「会いたいの」と言った。


「で、でももう遅いし、僕は・・・」


『会いに来て、待ってる』


もう、幼馴染じゃないんだ。

そう言い聞かせようとしたのに、さっちゃんはいつになく強気な声でそう言って電話を切った。






こんな時間に年ごろのお嬢様の部屋に行くだなんて

両親に知られたら、殴られるどころの騒ぎじゃない。


そう思って、両親が眠っているのを確かめると

音を潜め、そろりと家を抜け出した。
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