Vrai Amour ~駿の場合~
さっちゃんの部屋はお屋敷の離れにある。

代々そこは子供部屋として使っているそうだ。

そっとさっちゃんの部屋の窓まで近づくと、コンコンと窓ガラスをノックした。

僕はさっと暗がりに隠れるように身を潜める。

すると、ガチャリと音がして玄関の扉が開いた。

「駿くん」

顔を出したのは当然さっちゃんだった。

手招きをされて、足音を立てないようにそっと中に入った。

なんとか誰にも見つからずにさっちゃんの部屋へとたどり着く。

「ごめんね・・・こんな時間に」

そう言いながら、さっちゃんはうつむいた。
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