【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊦
「…ところで彩音をおぶって送ってくれたのって君?」
そう言った咲哉さんの目は、悠士を睨みつけているように見えた。
…いや、睨んでいる。
確実に睨んでる。
「え…お、俺じゃないっすよ…」
……蛇に睨まれた蛙のごとし。
一見優しそうな雰囲気の咲哉さんの鋭い眼光は、一瞬にしてその場の空気を凍てつかせた。
「お…お兄ちゃん……?」
彩音は咲哉さんの腕を掴んで困惑している。
「コイツ以外に誰がお前をここまでおぶって来たんだって。その子のわけないよねぇ?」
咲哉さんは私をちらりと見た。
「そうだけど!お兄ちゃん、悠士君は美菜の彼氏だよ」
彩音は私と悠士を指さして言う。
危険を感じたのか悠士は小さな声で“そうでーす”言って私の方に非難して来た。
「…あらあら、まったく咲哉は…」
彩音ママははぁっと溜め息をついて、この2人の様子にも慣れているようだ。
ガチャ―