【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊦
「そういえば柾樹達何で私の地元にいるの?」
今更の様な質問。
なんかゴタゴタしてて、忘れてた。
「あ?あぁ…お前家族にって買った手土産忘れていったろ。ほら。それとコレも」
俺は彩音が忘れていったお菓子と、両親の結婚記念日にと買ったペアグラスを渡した。
「あ…あーーー!忘れてたッ!!」
彩音はそれを受け取りありがとうと俺に言った。
「はい、お兄ちゃんにコレあげる」
「お、おぅ。ありがとな」
彩音はお菓子が入った紙袋を兄貴に渡した。
彩音の兄貴は少し嬉しそうに微笑む。
兄貴を見た時から終始睨まれていたから気付かなかったけど、笑った顔は彩音にどことなく似ていた。
「ってそれは置いといて……」
「はいはい、もう咲哉はちょっと黙って向こうでご飯食べなさい。柾樹君にもケーキ食べてもらうんだから!」
彩音の母親がキッチンから戻って来て、兄貴をダイニングの方へ追いやった。
「でも…!」
「…アンタお母さんの言う事が聞けないの?」
反論しようとした兄貴に、彩音の母親は笑顔で圧力をかけていた。
「……チッ」
彩音の兄貴は納得いかないというように舌打ちをして、ダイニングの椅子に座ってご飯を食べ出した。