【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊦
「…あ、美味いです。すごく」
「本当に?」
何でこんなに執拗に感想聞いてくるんだ…?
疑問に思いながらも、答える。
「はい。甘すぎず丁度いい感じで食べやすです」
「…柾樹甘いのあんまり、好きじゃないのに、珍しい…」
彩音はびっくりした顔で俺を見ていたが、このケーキは甘いのが苦手な俺でも食べやすかった。
「あら、そうなの?でも甘いものが苦手な人からの感想も聞けて良かったわ。これならお店に出しても問題ないわね〜」
「お店って…?」
「あ、お母さん、ケーキ屋の経営者なの」
「えっ!?そうなんですかっ!?」
美菜がいきなり会話にくいついてきた。
俺はだから、感想聞きたがってたんだ、と納得できた。
「そーよ。これでも一応パティシエなのよ」
えへっと笑ってみせる彩音の母親は、とても大学生と高校生の子供がいるようには見えなかった。