【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊦
「……おはようございます」
「………おー」
どことなく彩音に似たその人物は、気怠そうにタバコに火をつけた。
薄明るい空をバックにゆらゆらとゆれる紫煙を漂わせる彩音の兄貴。
そこには俺や悠士にはない大人の余裕が感じられた。
てか、なんでこんな時間に起きてんだよ?この人。
この家は今は恐ろしい程に静まり返っている。
恐らく起きてるのは俺と彩音の兄貴だけ。
やけに、緊張する。
「…で?」
「え?」
タバコを口元から離して俺を見据える彩音の兄貴は、壁に寄りかかりながら言葉を続ける。
「認めないとか言われて何か言う事ねーの?」
…その目は昨日と同じものだった。
眠気なんか一気に吹っ飛ぶ。
体全体はだらんと怠そうなままなのに、目だけは俺を試すようだった。