【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊦
「俺は翼の知り合いだから、翼を応援したくなる。
もちろん彩音は翼が好きなんて知らないし、翼も彩音に気持ちを伝える気もないらしい」
「……彩音と今付き合ってるのは俺です」
そんな事俺に言ってどうすんだ。この人。
それで“はいそうですか”って諦めるとでも思ってんのか?
「知ってるよ。俺も彩音が翼とどーこうなるなんて思ってねーけど、…ただ間違ってしまったアイツだから。
…アイツが彩音を諦められるまでは翼に葛藤してもらおうと思うよ」
俺の顔が可笑しいのか何なのか、彩音の兄貴は喉の奥を鳴らして笑ってる。
…なんなんだよ。
真剣な話してんじゃねぇのかよ。
いきなり笑われて不機嫌になる俺を見て、今度は声をだして笑い出した。
「いや、ワリーワリー。あんまり真剣な顔してたからさ」
「そりゃ真剣ですよ」
彩音の家族には嫌われたくねーし。
「俺は翼を応援してるから昨日認めないって言ったんだよ。
アイツの近くにいすぎたかな?感情移入しちまった」
………意味がわかんねぇ。
「んじゃあ、俺寝るから。まぁお前も頑張れよ」
ただじっと彩音の兄貴を見てた俺に、そう言って壁からゆっくり背を離して“若けーんだからいっぱい悩め”なんて言葉を残して2階上がっていった。