【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊦
「ら……ん、君?」
私の肩をつついてたのは、陸君の友達の藍君だった。
「ちょっと誰よぉ〜」
藍君の右手に絡み付くキレイな女の子は、私を見てものすごく不機嫌になった。
…だって私をすごい顰めっ面で見てる。
「アヤアヤは〜陸のオトモダチ〜」
「あ、どうも…」
「ふーん」
差し出した右手はあっさりスルーされた。
すっごいつまんなそうな顔で、髪の毛をくるくる弄り出した女の子はもう私には興味がないみたい。
ふーんって…なら聞かないでよ!!
無視するなら聞かないで!!!
「あ、待って。アヤアヤさぁ、聞いといてくれる?柾樹に」
差し出した手を引っ込めようとしたら、藍君に不意に手を掴まれた。
「何を…ですか?」
ぐっと引っ張られた右手が痛い。
僅かに眉をしかめれば藍君は“あ、ごめーん”言って、力を緩めた。
「響元気かって。それとウチに興味ないかって」
………響?
……興味?
「それってどーゆ…」
「アヤアヤにオススメスキンケア〜コレ使いなよ。お肌ツルツルになるよ〜ん」
私の疑問を遮って、オススメって言うスキンケア一式をカゴに入れた藍君は、そのままどこかに行ってしまった。
…掴まれた腕にはうっすら痕が残ってた。