【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊦
「コレはさっき藍君に……」
「藍?」
私の口から藍君の名前を聞いた途端に低い声を出す陸君。
「え…っと……」
そんな陸君を見た事がない私は若干びっくりした。
「あ…ゴメン。びっくりさせたな。今藍探しててさ、どっち行ったかわかる?」
慌て笑顔を見せた陸君だけど、もう遅い。
裏の…西高生としての陸君が垣間見えた気がした。
「…ごめん、どっちに行ったかはわかんない。でも女の子といたよ?」
それを聞いた陸君は“またかよ”呟いて大きなため息を吐いてしゃがみ込んだ。
「どっ…どうしたの!?」
いきなりしゃがみ込むもんだから、私も慌て陸君と同じ目線まで下がる。
ガシガシと頭を掻く陸君は少し疲れてるように見えた。
「いや、なんでもねーよ?彩こそ大丈夫?クマできてる」
横目で私を視界に入れた陸君はくすっと笑って私の目の下を指でなぞる。
あぁ…陸君にまで言われちゃった。……化粧直ししたのにな。
「うん。大丈夫。陸君こそ疲れてない?」
「ん?んーちょっとね」
はぁっと息を吐いて空を見上げる陸君につられて、空を見ればもう太陽が沈む寸前だった。
日が落ちるのが早くなったなって思う。