【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊦

「…そういや、さ」


「うん?」


「彩、誤解されてね?」


「え?」


誤解…?
誰に…?
陸君の話は主語がなくてわかんなかった。



「…彼氏同窓会まで来てたじゃん?」


キョトンとした私の顔が可笑しかったのか、ぷっと吹き出す陸君。


「あ…」


言われて気付く。それは柾樹の事。



「あれは…」
「言っとくけど安心しろよ?彩の彼氏が誤解する様なことなんてないから」


説明しようとした私の言葉を遮って話す陸君。


「…安心も何も私はそんな事思ってないよ?」


そんな事思ってたら私、超勘違い女の自意識過剰じゃん。


「あ〜彩はそうでも彼氏は違うじゃん?俺、睨まれたし」


意地悪く笑う陸君は“あ、やべ俺行くわ”言って立ち上がった。


「あ、うん。じゃあまたね」


バイバイって手を振る私に背を向けてた陸君が振り返る。


「また、地元帰ろうな」


そう言って片手を挙げた陸君は、走って暗い路地に消えていった。


……翼の友達の陸君。


< 282 / 370 >

この作品をシェア

pagetop