【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊦
「…そういや、さ」
「うん?」
「彩、誤解されてね?」
「え?」
誤解…?
誰に…?
陸君の話は主語がなくてわかんなかった。
「…彼氏同窓会まで来てたじゃん?」
キョトンとした私の顔が可笑しかったのか、ぷっと吹き出す陸君。
「あ…」
言われて気付く。それは柾樹の事。
「あれは…」
「言っとくけど安心しろよ?彩の彼氏が誤解する様なことなんてないから」
説明しようとした私の言葉を遮って話す陸君。
「…安心も何も私はそんな事思ってないよ?」
そんな事思ってたら私、超勘違い女の自意識過剰じゃん。
「あ〜彩はそうでも彼氏は違うじゃん?俺、睨まれたし」
意地悪く笑う陸君は“あ、やべ俺行くわ”言って立ち上がった。
「あ、うん。じゃあまたね」
バイバイって手を振る私に背を向けてた陸君が振り返る。
「また、地元帰ろうな」
そう言って片手を挙げた陸君は、走って暗い路地に消えていった。
……翼の友達の陸君。