【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊦
「ねぇ、柾樹?」
「あ?」
「響ってだれー?」
振り返って訪ねる。
さっき聞きたかった事を。
柾樹は、はぁ?って顔してる。なんでお前が知ってんだよ?って顔。
「…藍君が柾樹に聞いてって言ってたよ。“響元気かって”」
視線を指先に向ける。
あ、爪ボロボロだなぁ…
手入れも何もされてない手はカサカサ。
一人暮らししてから水仕事増えて荒れたんだよね…
昨日ハンドクリームも買えばよかった、なんて思った。
今日帰ったらネイルしようかな…
「…藍が?」
「うん。あと、“ウチに興味ないかって”言ってた」
「……………」
そう、確かに藍君は言った。
そのたったの2文にかなり疑問が生まれた。
柾樹と藍君に共通の知り合いがいる事自体謎。
…藍君はわかんないけど、柾樹地元ここじゃないし。
しかもウチってどこ!?って感じだし…
…そもそも私に言付(ことづ)ける意味もわかんない。
「……響は俺の中学ん時のダチだ」
つらつら考えてた私の後頭部に柾樹の声が落ちてきた。