【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊦
「あ、響?お前藍って知ってるか?神崎、藍」
カチっと携帯を開いた音がしたかと思えば聞こえる柾樹の声。
振り返れば案の定柾樹は電話してた。
柾樹の近くにいる私に聞こえてくる声は明るいけど低い声。
なんて言ってるかまでは聞こえないけど、柾樹“響”って言ったし、この声の主が私の訪ねた“響”なんだと思う。
時折聞こえてくる笑い声と柾樹の相槌。
電話は殆どが響って人が話してるのか柾樹は相槌ばかり。
柾樹は携帯を左手に持って右手で私の髪を弄ぶ。
その表情は、柔らかい。
「そっか、おーじゃあな」
携帯をパチンと閉じた柾樹。
電話は終わったらしい。
「…柾樹?」
「ん?」
そこでタイミングよくなる3限の終了を報せるチャイム。
瞬間、スッと立ち上がった柾樹。
そのまま私の手を引いて立ち上がらせる。
屋上から室内に入れば吹き荒れる風が遮られて、僅かに暖かかった。