【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊦
「結局買わなかったわねー」
ストローに口をつけて美菜が不服そうに呟いた。
どんどん減っていくその茶色い飲み物を見つめる。
上に乗っかったクリームが美味しそうなその飲み物は、美菜が注文したカフェモカ。
「うーん。だってスカスカしたし…」
さっき試着したワンピース。
“可愛い”とか“似合う”を連発されたら、そうなんだとかだんだん思ってくるわけで…
美菜と店員さんの口車に乗せられて危うく購入する所だった。
私があんなの似合わないってわかってるんだけど、その場の雰囲気って怖い。
「もー残念。彩音が着たら柾樹君喜ぶと思ったのにぃー」
「柾樹?」
「そう。セクシーなワンピース着た彩音を柾樹君の誕生日プレゼントにしようと思ったのにさー」
「…………」
いやぁ…本当に買わなくて良かった。
危うく自分がプレゼントになる所だったし…
ははっと乾いた笑い声しか出てこない。