【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊦
次の日私は珍しく柾樹に起こされた。
携帯の着信音で目を覚ました私は、身体中が怠すぎてベッドからも出れなかった。
「…はい」
「彩音、大丈夫か?」
「大丈夫…じゃない……かも」
その声に、大丈夫と言おうとしたのに、つい出た言葉は違う物だった。
「…ちょっと待ってろ」
いきなり切れた電話に柾樹が部屋に来るってすぐにわかった。
重たい身体を這わせてふらふらと玄関に向かえば、鳴るインターフォン。
そのまま鍵を開けてドアノブを回した。
…そこからは正直覚えていない。
ただ気付いた時には固いベッドに寝ていて手首には点滴の針が刺さっていた。
「……?」
「彩音!」
その声に視線を向ければまさかの人物。
そこにいるはずではない人に私はただ吃驚して、しばらく何も言えなかった。
「…お母…さん?」
やっと言えた言葉はそれだけだった。