【完】お隣さんは同級生〜一人暮らしの2人〜㊦
目の前にはクラッカーを手に持った、柾樹、美菜、悠士君、修平さん、愛未さん…
私はただ、放心状態で彼らを順々に目で追っていた。
「吃驚した?
って吃驚しすぎて、声にならないって感じ〜?」
美菜は私の手を引いて、お店の中へと案内する。
「自分の誕生忘れるとか、やっぱ彩音ちゃんドジだよね〜」
悠士君は笑って私のオデコをツンと小突く。
「彩音ちゃん!16歳おめでとうっ」
愛未さんと修平さんは、私を“座って!”と料理の並んだテーブルへと座らせる。
そして…
「おめでとう」
にっこり笑う柾樹の顔はしたり顔。
そうだ…今日は3月4日…
私の誕生日…
つうっと頬に伝う暖かいもの。
「…み…ん、なッ…あり、がとうっ」
その笑顔が…みんなの気持ちが、嬉しくて私は泣いてしまった。