酒の名たるや
魔王と呼ばれるべきにふさわしい悪意のこもった瞳で。
「貴様には解るまい、酔いを失わずして手に入らぬこの耐えがたい屈辱と苦悶からの脱出…嗚呼、だからこそ私は魔王であり我が手を擦り抜けるは気味悪くて切り捨てた無償の愛と熱である。」
浮かされるか否か。
自らの意志で失ってなお、魔王にはそれが愛おしく。
「しかしながら我は魔王たり、悪魔たり。
我が生業は人の耳元から肺腑の奥まで甘い毒で満たして食すこと、すなわち恋慕など求める種族ではないのだよ」