ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
お兄ちゃんに支えられてようやく立ち上がれた時には、辺りは夕陽が消えて薄暗くなっていた。


「歩けるか?」


作業着のままのお兄ちゃんが、心配そうに眉を下げてあたしの顔を覗き込んで来る。


あたしは無言で小さく頷く事で、質問の答えを返した。


昼間とは打って変わってひんやりとした空気が、体温を奪うように体に纏わり付く。


「……ったく。雪緒も様子がおかしかったし、一体何があったんだよ?」


お兄ちゃんはあたしを気遣うようにゆっくりと歩きながら、いつものぶっきらぼうな口調で核心を突くように訊いて来た。


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