ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
一口かじったリンゴの甘味と、ほんの少しの酸味が口の中いっぱいに広がる。


それを飲み込んでからもう一口かじると、お兄ちゃんが目を細めて微笑んだ。


一重で目付きが鋭いお兄ちゃんは、いつだって少しだけ冷たく見えるけど……。


こんな風に微笑む時は、雪ちゃんと同じくらい優しい顔をするんだ。


あたしは、その表情に救われるかのようにリンゴを食べ続け、やっとの思いで一羽目のウサギのリンゴを食べ終えた。


「……雪緒と何があった?」


そんなあたしの様子を窺うように、真剣な表情をしたお兄ちゃんが静かに訊いた。


< 113 / 500 >

この作品をシェア

pagetop