ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
唇を噛み締めていたあたしの頭に、不意に温もりが落ちて来た。


子どもの頃はあたしとほとんど変わらなかったその手は、今はあたしの手よりもずっと大きい。


そこから与えられる優しい温もりに、堪えていた涙が溢れ出す。


「雪緒と何があったのかは知らないけどさ……。俺は、何があっても渚の味方だから」


そう言ったお兄ちゃんは、あたしの顔を覗き込んで微笑んだ。


無条件に与えられた優しさに、また涙が込み上げて来る。


何も言えないあたしの口に、お兄ちゃんは二羽目のウサギのリンゴを押し当てて、ただ笑っていた──。


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