ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
お兄ちゃんが目を見開いたのは、ほんの一瞬だけ。


だけど……。


あたしは涙で滲む視界でも、それを見逃さなかった。


「雪緒がそう言ったのか?」


戸惑いを隠すように静かに訊いたお兄ちゃんが、あたしを見つめて来る。


さっき見せた動揺はすっかり消えてしまっていたけど、お兄ちゃんの様子が何だかおかしいって事に気付いて……。


僅かに冷静さを取り戻した頭が、ゆっくりと働いていく。


「雪ちゃんから聞いたんじゃないの……?」


質問で返したあたしに、お兄ちゃんは何かを考えるように眉を寄せた。


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