ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
「……雪緒に、口止めされてるんだ」


不安でTシャツの胸元をキュッと握った時、お兄ちゃんが静かに告げた。


雪ちゃんの話……?


雪ちゃんの名前が出て来た事で、あんなにも騒いでいた心臓が落ち着いていく。


「あいつ、『渚には言うな』って……。『渚に言ったら、きっと泣くだけじゃ済まないから』って言ってたよ」


だけど、そうなったのもほんの束の間の事で……。


お兄ちゃんの口から出て来る数々の言葉に、あたしはまた冷静さを欠いてしまいそうになっていた。


それでも、必死に足に力を入れて立っていた。


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