ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
「雪緒の言う通りだ……」


お兄ちゃんの声が、廊下までしっかりと聞こえて来た。


「渚にとって、雪緒は“全て”なんだ……。だから渚は、雪緒がもうすぐ死ぬって知ったら……きっと簡単に雪緒の後を追うよ……」


言葉が、耳を擦り抜けていく。


話の内容を上手く理解出来ないのは、どうしてなんだろう……。


まるで理解する事を拒否するように、あたし自身が思考を閉ざそうとする。


息が苦しくて、“今”が夢なのか現実なのかもわからなくなる。


だけど、真実を知りたくて、リビングのドアに手を掛けた。


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