ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
「だから、雪緒が引っ越すまでは渚には……」


お兄ちゃんの言葉をそこで遮ったのは、あたしが開けたドアの音だった。


「なっ、渚っ……!」


目を見開いたお兄ちゃんに続いて、両親が振り返った。


テーブルを囲んで座っている三人の視線が、あたしを捕らえたかと思うとすぐに逸らされた。


「ゆ、き……ちゃ……」


言葉を紡ぎ出そうとしても、思った以上に渇いている喉に張り付くように出て来ない。


カチカチと歯が鳴って、体が震えている事に気付いたけど……。


そんな事に構う余裕なんて、微塵も無かった。


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