ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
「……章太郎から聞いたの?」


あたしの足元に送っていた視線を上げた雪ちゃんが、落ち着いた口調でゆっくりと沈黙を破った。


いつもと変わらないその声音にまた切なさが込み上げて、思わず唇をキュッと噛み締める。


すると、雪ちゃんはあたしを見ながらため息をついた。


「全く……。だから、章太郎に話すのも嫌だったんだよ……」


眉をしかめて嫌がる素振りを見せながらも、本気で嫌がっているようには見えなくて……。


そんな雪ちゃんを、あたしはただただ涙を浮かべた瞳で見つめる事しか出来ない。


だけど……。


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