ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
雪ちゃんに導かれるようにノロノロと振り返ると、門扉の外側にお兄ちゃんが立っていた。


夜の闇の中、ぽっかりと浮き上がるお兄ちゃんの白いTシャツが、ゆっくりと近付いて来る。


「渚には言わない、って約束だっただろ?」


「悪い……。聞かれてる事に気付かなくて……」


不満げな顔をしている雪ちゃんに、お兄ちゃんが眉を寄せた。


いつもと違う二人にただならぬ雰囲気を感じているのに、閉じてしまった思考では何も考えられない。


「もういいよ……」


程なくして、雪ちゃんの声が耳を通り抜けた。


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