ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
ほんの一瞬だけ、お兄ちゃんの瞳に動揺の色が混じった。


お兄ちゃんは、昔から嘘をつくのがすごく上手い。


だからきっと、それは兄妹じゃなかったら気が付けないくらい、本当に些細な変化だったんだと思う。


だけど……。


あたし達は兄妹だから、あたしはその僅かな変化に気付いてしまったんだ。


「答えてよ、お兄ちゃん……」


真っ直ぐ見つめながら懇願すると、お兄ちゃんが苦しげに唇を結んで眉を寄せる。


「別に何も隠してないよ……」


静かに答えたお兄ちゃんに、疑いの眼差しを向けた。


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