ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
お兄ちゃんはどこか気まずそうにしながらも、あたしから目を逸らそうとはしない。


だけど、口を開こうとする素振りは無い。


「お兄ちゃん……」


その言葉に、懇願の気持ちを強く込めてみる。


すると、お兄ちゃんが覚悟を決めたように息を小さく吐いた後、あたしの瞳を真っ直ぐ見つめた。


「渚、雪緒は……」


次の言葉を探しているのか、お兄ちゃんはそこで口を噤んで目を細めた。


そして、程なくして意を決したようにもう一度息を吐いて、ゆっくりと口を開いた。


「雪緒の事はもう忘れろ」


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