ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
二人きりになった部屋の雰囲気が、やけに重く感じる。


完全に布団から出るタイミングを失くしてしまったあたしは、ベッドの中で息を潜めるように真保の様子を窺っていた。


「渚」


優しく呼び掛けられても、どう答えたらいいのかわからなくて返事が出来ない。


「渚……」


ため息混じりに呼ばれた事で益々気まずくなって、顔を出すタイミングがわからなくなってしまった。


すると──。


「なーぎーさー!」


真保は、いつもの三倍以上は低くなった声であたしを呼びながら、力ずくで布団を剥ぎ取った。

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